ケース別ガイド
採用後に必要なこと
外国人の採用は、内定や入社で完了ではありません。雇入れ届出、在留期間の管理、特定技能の支援義務、社会保険の手続きなど、採用後に発生する実務を時系列で整理します。
Notification
採用直後の届出
ハローワークと入管の2系統
ハローワークへの届出
外国人雇用状況届出
届出義務
外国人を雇用する全ての事業主(「外交」「公用」、特別永住者を除く)
届出先
ハローワーク(e-Gov電子申請、外国人雇用状況届出システムも利用可)
届出期限
雇用保険被保険者: 雇入れは翌月10日まで
非被保険者: 雇入れ・離職ともに翌月末日まで
届出しない場合
30万円以下の罰金
入管への届出
所属機関による届出
届出対象
教授、高度専門職、経営・管理、技人国、特定技能、企業内転勤、介護、留学など
届出期限
受入れ開始から14日以内
届出先
出入国在留管理庁長官
ハローワークへの外国人雇用状況届出を行っている場合、就労資格者については所属機関届出は不要です(二重届出にならない仕組み)。
Management
在留期間の管理と更新
満了日の管理と更新準備を計画的に
期限管理のポイント
- 1
採用時に在留カードの満了日を記録する
在留カードの表裏コピーを保管し、満了日を人事管理システムや一覧表に登録します。
- 2
満了3か月前を更新準備の開始時期にする
6か月以上の在留期間を有する場合、概ね3か月前から更新申請が可能です。
- 3
管理責任者を明確に決める
人事部門の特定の担当者を在留期限の管理責任者にし、更新準備の声掛けを行います。
- 4
複数人を雇用する場合は一覧表で管理する
在留資格名、満了日、更新予定月を一覧にして、月次で確認する運用にします。
在留期限管理の具体的な方法
在留期限の管理は、属人化させず仕組みで対応することが重要です。以下に実務で使える方法を示します。
Excel / スプレッドシートでの管理項目
氏名(在留カード表記)
在留カードに記載された氏名
在留資格
特定技能1号、技人国など
在留期間
1年、3年、5年など
在留期間満了日
在留カード記載の日付
更新準備開始日
満了日の3か月前
更新申請日
実際に申請した日
更新結果
許可 / 審査中 / 不許可
備考
転職歴、届出状況など
3か月前アラートの設定
- Google カレンダーやOutlookの繰り返しリマインダーで、満了日の3か月前にアラートを設定する
- スプレッドシートの場合、条件付き書式で「今日から3か月以内に満了する行」を色付け表示する
- 1人の担当者だけでなく、上長やバックアップ担当にもアラートを共有する
複数名を雇用している場合
- 全員の在留期限を1つのシートで管理し、満了日の昇順でソートする
- 月次で一覧を確認するルーティンを設ける(例: 毎月1日に翌3か月以内の対象者を確認)
- 人事異動や退職があった場合に更新漏れが起きないよう、管理責任者の引継ぎ手順を定める
在留期間更新許可申請
申請時期
満了日の概ね3か月前から
申請先
管轄の地方出入国在留管理官署またはオンライン
手数料
6,000円(オンラインは5,500円)
審査期間
標準2週間〜1か月
SSW Specific
特定技能の追加義務
支援計画の実施と届出が義務づけられます
義務的支援10項目
特定技能1号の外国人に対して、受入れ機関は以下の支援を計画・実施する義務があります。
- 1
事前ガイダンス
雇用契約締結後、労働条件や入国手続などを説明
- 2
出入国時の送迎
入国時と帰国時の空港送迎・同行
- 3
住居・生活契約支援
住居確保、銀行口座開設などを支援
- 4
生活オリエンテーション
日本のルール、公共機関の利用法などを説明
- 5
公的手続同行
住居地届出、税務、社会保険手続での同行支援
- 6
日本語学習機会の提供
日本語教室の案内や学習教材の情報提供
- 7
相談・苦情対応
外国人が理解できる言語での対応
- 8
日本人との交流促進
地域行事や自治会活動への参加支援
- 9
転職支援
受入れ側都合の雇用契約解除時に転職を援助
- 10
定期面談・通報義務
3か月に1回以上の面談を実施し、違反事項があれば通報
登録支援機関に支援の全部を委託することも可能です。全部委託した場合、受入れ機関の支援体制基準は自動的に満たされたとみなされます。
届出義務
対象期間: 4月1日〜翌年3月31日
翌年5月31日までに提出。受入れ状況、報酬の支払状況、支援実施状況を報告します。
事由発生日から14日以内に提出
雇用契約の変更・終了・新規締結、支援計画の変更、受入れ継続困難時などが対象です。
届出を怠ると、特定技能外国人の受入れができなくなる場合があります。
Insurance
社会保険・労働保険の適用
国籍に関係なく日本人と同等に適用されます
労働基準法、健康保険法などの労働関係法令・社会保険関係法令は、国籍を問わず外国人にも日本人と同等に適用されます。外国人であることを理由に適用を除外することはできません。
労災保険
雇用形態を問わず、全ての労働者に適用されます。パート・アルバイトを含みます。
雇用保険
週20時間以上の勤務、31日以上の雇用見込みがある場合に適用されます。
健康保険・厚生年金
適用事業所で常時雇用される労働者に適用されます。短時間労働者の適用拡大にも注意が必要です。
外国人固有の論点
脱退一時金制度
帰国する外国人が、日本の年金保険料の一部を請求できる制度です。
対象者
日本国籍を持たない者で、年金の受給資格期間(120月 = 10年)を満たしていない場合
請求期限
日本を出国後2年以内
対象制度
国民年金と厚生年金の両方に脱退一時金があります
支給額
保険料納付済期間の月数に応じて計算されます。計算に用いる月数の上限は60月(5年)です
費用
請求自体は無料
脱退一時金を受け取ると、それ以前の日本の年金加入期間は全てなくなります。将来日本に再度来て年金受給を目指す場合は、請求しない方が有利な場合があります。入社時に外国人本人へ制度の存在を説明しておくと、帰国時の手続きがスムーズになります。
社会保障協定国の扱い
日本と社会保障協定を締結している国の出身者は、一定の条件下で日本の年金制度への加入が免除される場合があります。
目的
自国と日本での年金保険料の二重負担を防止する
対象国
ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリアなど(発効済みの国のみ)
免除の条件
相手国から一時的に日本へ派遣されている場合で、相手国の社会保障制度に加入していることを「適用証明書」で証明する必要があります
協定の内容は国ごとに異なります。対象となる制度(年金のみか、医療保険も含むか)も国によって異なるため、個別に確認が必要です。採用する外国人が協定国の出身者である場合は、入社前に適用証明書の有無を確認してください。
健康保険証の発行タイムラグへの対応
健康保険の資格取得届を提出してから、マイナ保険証が利用可能になるまで、または資格確認書が届くまでに日数がかかる場合があります。この間に医療機関を受診する必要がある場合は、「健康保険被保険者資格証明書」を利用します。
申請先
管轄の年金事務所の窓口
申請者
事業主または被保険者本人
交付時期
原則として当日交付(混雑状況により翌日以降になる場合があります)
有効期間
証明日から20日以内
費用
無料
外国人は来日直後に医療機関を利用する可能性があるため、入社手続きと同時に資格証明書の申請を検討してください。
在留カードの氏名表記と届出の整合性
外国人雇用状況届出や社会保険の届出では、在留カードに記載された氏名を使用します。以下の点に注意が必要です。
- 在留カードの氏名はアルファベット表記が原則。漢字圏の国籍者は漢字の併記が可能です
- 届出書類の氏名は在留カードの表記と一致させます
- 通称名(日本名)を使用している場合でも、届出は在留カードの氏名で行います
- 氏名の変更があった場合は、在留カードの変更届出と各届出の整合性を確認します
Setup
社内受入体制の整備
属人化しない管理体制を作る
在留期限の管理責任者を決める
人事部門の特定の担当者を指名します。更新準備の開始時期(満了3か月前)にアラートが出る仕組みを設けます。
届出フローを社内手順として文書化する
雇入れ時と離職時に、誰が、いつまでに、どこへ届出するかを手順書にまとめます。
在留カードの表裏コピーを保管する
採用時に取得し、在留資格名、満了日、資格外活動許可の有無を後から確認できるようにします。
就業規則や社内規程を理解できる言語で説明する
多言語版の用意、または本人が理解できる言語での説明が求められます。
相談窓口を設ける
労働条件や生活上の問題に対応できる窓口を整備します。特定技能では相談・苦情対応が義務的支援に含まれます。
Separation
退職・離職時の対応
退職時にも届出義務があります
外国人が退職する場合も、届出義務があります。届出先と期限を漏らさないよう、退職が決まった時点でチェックリスト的に確認してください。
ハローワークへの届出
外国人雇用状況届出(離職時)
届出先
ハローワーク(e-Gov電子申請、外国人雇用状況届出システムも利用可)
届出期限
雇用保険被保険者: 離職翌日から10日以内(資格喪失届に記載して届出)
非被保険者: 翌月末日まで(届出書(様式第3号)で届出)
届出しない場合
30万円以下の罰金
費用
無料
入管への届出
所属機関届出(受入れ終了)
届出先
出入国在留管理庁長官
届出期限
受入れ終了から14日以内
届出方法
窓口、郵送、またはオンライン
費用
無料
ハローワークへの外国人雇用状況届出(離職時)を行っている場合、就労資格者については所属機関届出は不要です。
特定技能の場合の追加届出
特定技能の外国人が離職する場合は、上記に加えて以下の届出・対応が必要です。
受入れ困難に係る届出
届出先: 地方出入国在留管理局
本人都合の退職、会社都合の解雇のいずれも対象です。受入れを継続することが困難となった場合に届出します。
雇用契約の終了に係る届出
届出先: 地方出入国在留管理局
特定技能雇用契約に係る届出書により届出します。
転職支援義務(受入れ機関側都合の場合)
受入れ機関の都合で雇用契約を解除する場合、義務的支援の一環として以下の転職支援を行う義務があります。
- 次の受入れ先(特定技能所属機関)を探す手助け
- 推薦状の作成
- 求職活動を行うための有給休暇の付与
- 離職時に必要な行政手続きの情報提供
- 転職先が見つかるまでの間の生活支援(合理的な範囲)
登録支援機関に支援を委託している場合は、登録支援機関が行います。
その他の退職時手続き
退職証明書の交付
本人から請求があれば交付義務があります(労働基準法第22条)。在留資格の変更申請などで必要になる場合があります。
社会保険の資格喪失手続き
日本人と同様に、退職日の翌日から5日以内に届出します。帰国する場合は脱退一時金の案内も行います。
源泉徴収票の交付
退職後1か月以内に交付します。
在留カードについて
在留カードは本人が保持するもので、会社が回収することはできません。退職時に在留カードのコピーを返却する必要もありません。採用時にコピーを取得・保管している場合は、個人情報保護の観点から退職後の取扱いルールを社内で定めておいてください。
退職後の在留資格の扱い
- 退職しただけでは在留資格は即時に失効しません。在留期限までは日本に滞在すること自体は可能です
- ただし、就労系の在留資格(技人国、特定技能など)で退職した場合、その在留資格に基づく就労活動はできなくなります
- 正当な理由なく3か月以上、在留資格に基づく活動を行わない場合は、在留資格取消しの対象となります
- 退職後に転職する場合は、新しい雇用先での業務内容が在留資格の範囲内であることを確認した上で、必要に応じて在留資格の変更申請を行います
- 帰国する場合は、脱退一時金の請求が可能です(出国後2年以内に請求)
Caution
よくあるミス
見落としやすいポイント
採用時に在留カードの満了日を記録し、社内で管理する仕組みを作ります。満了日を過ぎると不法残留になり、雇用を続けることはできません。
外国人雇用状況届出を届出期限内に提出しないと30万円以下の罰金の対象です。雇用保険被保険者は翌月10日まで、非被保険者は翌月末日までに届出を行います。
人事と現場の間で管理責任が曖昧だと、更新時期の見落としにつながります。特定の担当者を管理責任者に指名し、更新準備の開始タイミングを社内ルールにします。
特定技能の随時届出は事由発生から14日以内が期限です。届出を怠ると特定技能外国人の受入れができなくなる場合があります。定期届出も年1回の提出を忘れないようにします。
外国人であっても、適用条件を満たせば日本人と同様に社会保険への加入義務があります。外国人であることを理由に加入を除外することはできません。
雇入れ時だけでなく、離職時にもハローワークへの届出と入管への届出が必要です。特定技能の場合は雇用契約終了の随時届出も14日以内に提出します。
FAQ
よくある質問
外国人雇用状況届出(ハローワーク)は30万円以下の罰金の対象です。所属機関届出(入管)は罰則はありませんが、在留期間更新の審査で不利になる可能性があります。いずれも気づいた時点で速やかに届出を行ってください。
原則として本人が申請しますが、会社が必要書類の準備を支援するのが一般的です。弁護士や行政書士による取次申請の制度もあります。更新の時期が近づいたら、早めに本人と準備のスケジュールを確認してください。
登録支援機関に全部または一部を委託できます。全部委託した場合、受入れ機関の支援体制基準は自動的に満たされたとみなされます。自社対応と委託のどちらが適切かは、社内のリソースと外国人の人数を踏まえて判断します。
在留資格の種類に関係なく、適用条件(常時雇用、週の所定労働時間など)を満たせば加入義務があります。外国人であることを理由に適用を除外することはできません。短時間労働者の適用拡大にも注意してください。
退職しただけでは在留資格は失効しませんが、就労系の在留資格に基づく就労はできなくなります。正当な理由なく3か月以上在留資格に基づく活動を行わない場合は、在留資格取消しの対象となる可能性があります。在留期限までは日本に滞在すること自体は可能です。退職時に本人へその旨を説明しておくことが望ましいです。
日本を出国後2年以内に請求します。年金の受給資格期間(120月 = 10年)を満たしていないことが条件です。脱退一時金を受け取ると加入期間がリセットされるため、再来日の可能性がある場合は慎重に判断する必要があります。
協定国から一時的に派遣されている場合で、相手国の社会保障制度に加入していることを「適用証明書」で証明すれば免除される場合があります。ただし協定の内容は国ごとに異なるため、個別に確認が必要です。日本で現地採用された場合は原則として日本の制度に加入します。
年金事務所の窓口で「健康保険被保険者資格証明書」を申請してください。原則当日交付で、有効期間は証明日から20日以内です。費用は無料です。外国人は来日直後に医療機関を利用する可能性があるため、入社手続きと同時に申請を検討してください。
回収してはなりません。在留カードは本人が保持するもので、会社が預かったり回収したりすることは適切ではありません。採用時にコピーを取得・保管している場合は、個人情報保護の観点から退職後の取扱いルールを社内で定めておいてください。
外国人雇用状況届出、所属機関届出、特定技能の各種届出はいずれも無料です。在留期間更新許可申請のみ手数料がかかります(許可時に6,000円、オンライン申請は5,500円)。収入印紙で納付します。
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届出の具体的な手順や必要書類は、手続きページで確認できます。